マンガ家の岡崎京子の初めての小説集だが、文学に造詣が深い為か、元々本業のマンガのレトリックが純文学的だからか、マンガ家が小説を書いた時によく有り勝ちな「新境地を開拓した!」な話題作り的あざとさが全く無く、小説を書くのが自然なのだ。
文章だけでも岡崎京子世界が構築されている。文章表現に関しては、本職の小説家も裸足で逃げるのではないでしょうか?句読点の付け方がおかしいところが有り、読み辛いと思うことも度々。
ストーリーは、『OKAZAKI‐ism—岡崎京子研究読本』に「(前略)岡崎は描きながらストーリーを考えているとも言っているが、それは別の、そして、もっと身も蓋もない言い方をすることを許してもらえば、成りゆきにまかせるということになる。」と書かれているが、『ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね』は、岡崎のそんな本質が顕になったと言える。ストーリーは面白くないし、構成も滅茶苦茶。マンガの場合は絵の描き込みやコマ割りのセンスでどうにかなるが、小説で成り行き任せではストーリーが破綻するだけだと思う。妄想を書き散らしたようなストーリーは、下品で下劣でグロくて気持ち悪かったです。
『終わらない』にタイガー・リリィが出ていました。『終わらない』の冒頭と最後の詩は、椎名林檎に似ていると思ったのは自分だけ?
熱狂的なファンは絶賛するけれど、私は良いとは思わない。新規ファンを開拓出来たり、岡崎の新たな展開が見えるとは思えない。初めて岡崎京子の作品を読む人にお薦めしません。